おつまみブックス

個人的なおすすめの本を勝手に紹介。初心者入門・読書感想文ブログ

『占星術殺人事件』 島田 荘司

 

占星術殺人事件 改訂完全版 (講談社文庫)
 

 

 

 

新本格ゴッドファーザー」こと

 

島田荘司のデビュー作であり

 

名探偵・御手洗 潔の初登場作品でもある

 

占星術殺人事件』(1981年)。

 

 

 

 

記憶に新しいところだと、

 

金田一少年の事件簿」の盗作問題。

 

もともと、いろいろな過去の名作から

 

借用したトリックを扱っていたけど

 

ここまで丸パクリだとさすがに怒られます。

 

 

 

 

内容は、

 

1936年の2月26日、

 

奇しくも二・二六事件が発生したその日に、

 

ひとりの画家の殺害され、

 

その現場に残されていた遺書から

 

この複雑な物語は始まります。

 

 

 

 

そこには、若い6人の処女から体の一部分を切り取り、

 

それらを合成して

 

「アゾート」という完璧な肉体を作り出すというもの。

 

 

 

そして、その内容通り

 

日本の各地から

 

頭、肩、胸、腰、足などが切り取られた状態の

 

6つの少女の遺体が

 

次々と発見される事になる。

 

 

 

 

犯人はこの画家以外ありえないと

 

警察の捜査は進む。が、

 

どう調べても

 

「アゾート」の完成を目指していた

 

この画家の方が、

 

その少女たちよりも先に死んでいるのである…。

 

 

 

 

 

時代は進み約40年後の1979年、

 

この迷宮入りした事件の

 

重要な証拠と思われる手記を発見した女性が、

 

占星学教室をやっていた御手洗 潔のもとを訪れる。

 

そして、この40年前の殺人事件に興味を持った御手洗が

 

難航不落なこの謎に立ち向かう。

 

というお話。(ざっくり)

 

 

 

 

 

一万円札の詐欺事件から

 

ヒントを得たといわれる

 

この名トリックは、

 

発表されてから30年以上も経っているが、

 

色あせることなく、

 

今なお多くの作品に影響を与えている。

 

 

 

ちなみに、

 

2014年のイギリスの雑誌で

 

「世界の密室ミステリーベスト10」の第2位に

 

選ばれているが、

 

密室のトリックが見所の作品では無いので注意。

(密室トリックもあるにはあるが…)

 

 

 

 

 

発売当初は、 

 

解決編が「袋とじ」になっているという

 

珍しい本でもあり、今も古本屋では

 

高値で取引されている。

ブックオフでも稀に紛れている)

 

 

 

 

 

島田荘司さんのデビュー作にして、

 

大胆にも「読者への挑戦状」があり(2ヶ所も)、

 

しかも、シャーロック・ホームズにも

 

毒づいているシーンがあるのがちょっと面白い。

 

 

 

個人的オススメ度(10満点):8.4点